2022年10月17日
沖電気工業株式会社
株式会社OKIアイディエス
Mipsology SAS
沖電気工業株式会社(東京都港区、社長:森孝廣、以下OKI)と株式会社OKIアイディエス(社長:滝澤家信、本社:群馬県高崎市、以下OIDS)、Mipsology SAS(CEO:ルドヴィッチ・ラーズル、本社:フランス共和国、以下ミプソロジー社)は、OKI独自のAIモデル軽量化技術「PCAS」(注1)とミプソロジー社のFPGA(注2)によるAI処理の高速化プラットフォーム「Zebra」を連携することで、AIモデルに内在する不必要な演算を自動的に削減かつ高速化し、従来の約4倍となるAI画像処理速度60fps以上を達成する技術開発に成功しました。さらに、本技術をOIDSとミプソロジー社との国内市場向けFPGA設計開発サービスに適用することで、高度AIを搭載したアプリケーションを短期間で提供できFPGA実装の自動化を実現します。これにより、AI処理を高速化するために必要なAIプログラムのFPGA実装において課題であった、専門的なスキルを持つ技術者不足や、開発時間の短縮・効率化を解決することができます。
FPGA化のイメージ図
AI開発の分野では、エッジ領域における自動運転、遠隔操縦ロボット、遠隔医療、映像監視などを実現するため、処理の高速化(リアルタイム化)と消費電力の低減が求められます。
高度なAIモデル(ディープラーニングモデル)は、大規模で複雑な演算処理を実行する必要があり、計算性能やメモリー使用量などに厳しい制約があるエッジデバイスに搭載するには、AIモデルの軽量化やその演算ロジックを実装するための論理回路設計など専門的な知識を持つ技術者が必要です。FPGAは、複雑な演算処理を並列処理し大容量のデータを高速に処理することができるデバイスですが、汎用的なCPU/GPUよりもさらに複雑な実装や専門知識が必要になることから、開発期間の長期化やコストが高くなるなどの課題がありました。
OKIが開発した「PCAS」は、認識精度を最大限維持したままどのようなハードウェアにも最適なAIモデルの軽量化をするものです。ミプソロジー社のAI処理の高速化プラットフォーム「Zebra」と組み合わせることで、AIモデルの軽量化からFPGAへ実装までを自動化することを実現しました。これにより、開発期間の短期化やコスト削減が可能となります。AI画像処理の評価実験(評価対象モデルに「YOLOv4(注3)」を使用)では、「PCAS」による軽量化未適用時に比べ4倍となるアプリケーションの実用化に必要な60fps以上の処理速度を達成し、高速かつ低消費電力の効果が期待できます。
PCAS×ZebraによるFPGA推論パフォーマンス測定結果
OIDSは、2020年11月にOIDSとミプソロジー社との国内市場向けFPGA設計開発サービスとの連携を開始しています。OKIが提供する軽量化技術PCASとミプソロジー社が提供するZebraプラットフォームにより、お客様からお預かりしたAIプログラムを自動でFPGAへ実装することが可能になり、お客様が求める性能を短期間で実現することを目指してまいります。また、OKIのイノベーション・マネジメントシステム「Yume Pro」の取り組みの一環である「PCAS」の開発を通じて、SDGsに掲げられている社会課題解決型のイノベーション創出活動を推進してまいります。
なお、本内容は、10月18日(火)より幕張メッセで開催される「CEATEC JAPAN 2022」のOKIアイディエス(ブースNo:K034)ブースでAIモデルを軽量化したFPGAのデモンストレーションの様子をご覧いただけます。
OKIが開発した、ディープラーニングモデルの演算数を削減して軽量化する技術です。
製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路。広義にはPLD(プログラマブルロジックデバイス)の一種です。
オープンソースソフトウェア(ソースコードが無償公開され、利用や改変、再配布が条件付きで許可されているソフトウェア)として公開されている物体検出を行うディープラーニングモデルの名称。検出精度が高く、さまざまなシーンで活用されています。
この成果の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託業務(JPNP16007)の結果得られたものです。